山上の多重搭

山上の多重搭

  塔婆 (石造三重塔)は、通称、山上の多重塔といわれ、付近で産出する赤城火山起源の輝石安山岩を使用する。 相輪・ 屋蓋おくがい・塔身・礎石からなり、 それぞれ別の石で造られ、全体的には三重の仏塔を模している。 屋蓋は、宝形造りで頂点には正方形の露盤が載せてあり、 塔身は、一石から三層を造りだし身部 (銘文のある部 分)・軒・基壇からなる。
 高さは百八十五センチメートルで、下層は幅四十八センチメートルでほぼ垂直に立ち上がり、中層と上層は 「八」の字状に造られている。 塔身には朱が塗られ、四十五の文字が刻まれており、読み方は、上層から右廻り に中層・下層と読む。そして、基壇と礎石ならびに屋蓋、相輪は塔身の朱を強調するように墨が塗られている のがわかる。
 刻字の内容は、「朝廷や 衆生しゅじょうなどのため、 小師の道輪が法華経を安置する塔を建てた。これで、 無間むげん(=八大地獄のうちの阿鼻地獄) の苦難より救われ、安楽を得て彼岸 (悟りの境地) へ行ける」とい うものである。延暦二十年(八〇一) 七月十七日に建てられたこの供養塔は、平安時代初期の地方における仏 教文化史上重要な石造物である。
   平成二十七年三月 設置
   文化庁
   群馬県教育委員会
   桐生市教育委員会
(説明版より)

山上の多重搭

 

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